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製造業において産業用ロボットは生産性向上や人手不足解消のためにはなくてはならない設備です。しかし、ロボットは設置するだけでは稼働することができず、どう動かすかを事前に教示(ティーチング)する必要があります。ここでは当社の事例を通じてロボットティーチングについて解説します。

ロボットティーチングとは

ロボットティーチングとは、ロボットを生産現場で稼働させるためにロボットに特定の動作を記録していく作業を行います。これにより製品の組み立て、検査、溶接、塗装の自動化など、各工程の業務を効率的に遂行できるようになります。
当社では溶接加工のロボットティーチングに力を入れており、品質を保ちながらコストを抑えた仕組みを追求。合理化と少人化を図りながら、自動化を推進しています。

ロボットティーチングの必要性について

当社では大型・大重量の製品の取り扱いが多いため、ロボットによる作業の自動化は生産性向上に不可欠です。
ロボットは高い精度かつ高速にタスクを実行できるため、製品品質が安定し、不良品のリスクが減少します。またロボットにより、高温、高圧、有害物質などの危険から作業者を守ることができ、結果的に人件費、労災費、労働時間も含めたコスト削減ができます。
ロボットには異なるタスクを再プログラムすることができ、お客様からのオーダーにも柔軟に対応できます。

ロボットティーチングの方法について

産業用ロボットのティーチングには、「オンライン・ティーチング」と「オフライン・ティーチング」の2つの方法に分けられます。
「オンライン・ティーチング」は、現場のロボットに直接ティーチングを行う方法です。「ティーチングペンダント」と言われるコントローラーを操作してロボットを動かしながら動作を記録できるので正確な動作を再現できるメリットがありますが、操作に熟練した技術が求められること、生産設備が構築されていないとティーチングができないこと、ティーチング中は生産設備を停止しないといけないなどのデメリットがあります。
「オフライン・ティーチング」とはコンピューター上で作成したティーチングデータをロボットへ送信して動作をさせる方法です。シミュレーター内でティーチングを行うため、生産設備を構築しなくてもティーチングができること、生産設備を停止させる必要がないことがメリットですが、ロボットを正確に動作させるための調整が現場で必要であること、ティーチングするために特定のソフトウェアやプログラミングの知識が必須となるデメリットがあります。

当社におけるロボットティーチングの事例紹介

当社ではオフラインによるロボットティーチングを行っており、「エミュレータ型」と言われる、オフラインティーチングで最も使われている方式を採用しています。
実際のロボットを使用する前に、仮想環境で溶接プログラムを作成・テストする手法です。ロボットに溶接プログラムを読み込ませてティーチングできるので、複雑な動作で制御できることに特徴があります。

01
準備作業
溶接する部品の設計図や3Dモデル、溶接プロセスに関する情報を用意します。
溶接エミュレーターソフトウェアをインストールし、溶接ロボットの仮想環境を設定します。
02
部品のモデリング
3Dモデル化された建設機械部品をエミュレーターソフトウェアに読み込みます。
モデル上で溶接すべき箇所や溶接パスを設定します。これには、溶接のスポットや接合部、溶接のパラメータなどが含まれます。
03
溶接パスのプログラム
エミュレーター上で溶接パスをプログラムします。部品の形状や溶接箇所に応じて、溶接ロボットの動作パスを設定します。
04
溶接プログラムのシミュレーション
溶接プログラムをシミュレーションして、溶接作業の仮想動作を確認します。
ロボットアームの動きや溶接トーチの位置、溶接パスの正確性を確認し、必要に応じて修正を行います。
05
パラメータの調整と最適化
シミュレーション結果を元に、溶接パラメータやロボットの動作条件を調整し最適化します。溶接品質や効率性を向上させるための修正を行います。
06
準備完了とデータエクスポート
エミュレーターで準備された溶接プログラムを実際のロボットに適用するために、必要なデータや設定をエクスポートします。
07
実機での実施と確認
実際のロボットで溶接プログラムを実行し、エミュレーターでの動作と同様の溶接品質が得られるか確認します。

ロボットティーチングの未来について

近年製造業における人手不足が深刻化しており、少子化による労働力不足が懸念されています。ロボットの活用により人手不足の解消だけでなく、危険作業からの解放、作業効率化や品質安定化などの効果が期待されます。しかし、産業用ロボットは購入しただけでは思い通りに動いてくれないため、ロボットへのティーチングが必要です。
今後も製造業でのロボット需要が増加すると思われる中、当社でもロボット作業の自動化を推進していくため、ロボットティーチングに従事する人材(ティーチングマン)の育成が急務となっています。

ロボットティーチングに関心を持ったみなさんへ

ロボットティーチングが行えるのは、「産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育」を受けたティーチングマンと呼ばれる専門技能を持った人だけです。安全性などの観点から、ティーチングは必ず資格保持者が行うことが法律で定められています。
またティーチングマンにはプログラミング言語の基礎知識も求められ、プログラムの勉強がロボットティーチングの勉強に繋がります。当社ではコマツ製のロボットが多く、コマツ専用言語を主に使用していますが、どの言語でも基本的な構造が同じなので、どの言語の勉強であっても無駄にはなりません。
プログラムの経験があるからといって、すぐにロボットティーチングに従事できるわけではありませんが、実務経験を積みながら、これまでに学んできたことを仕事に活かせる職務です。ロボットティーチングに関心を持った方からの応募をお待ちしています。